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ラストサムライ

 この連載では以前、死語系の物件を取り上げたが、今回もまたまた思わず頭がプッツンしてしまう強烈な死語に出くわした。

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 『やめてちょんまげ』……。これは東京メトロ丸ノ内線『南阿佐ケ谷』駅周辺で見つけたもの。阿佐ケ谷一帯は昭和の光景をいまもなお遺すイイ湯加減の街だが、言語感覚も昭和で止まっているらしい。

 とはいえ、ちょんまげはそもそもナウいヘアスタイルだった。テレビの時代劇を観て不思議に思わないか? 武士だけではなく町人も男子は皆、まげを結っている。そもそも町人がまげを結わねばならない規則も法律もない。武家の間では髪型が厳しく定められていたから当然としても、町人がそれをする必要はない。まして、まげの周りを剃る「月代(さかやき)」は戦のおりに兜で頭が蒸れないように始めたものだから、町人が青々と剃る必要はなかった。つまり、ちょんまげは「流行っていた」のである。YMOが流行った時、男子がモミアゲを剃ってテクノカットにしたのと同じ。チェッカーズが流行った時、前髪をくるりんとロールしたのと同じなのだ。

 そして、明治天皇が断髪したと同時に、町人たちもそれを真似て、ちょんまげを切り落とした(このとき髪結い師たちが一斉に理髪業に転業し、いまの美容院の原型となった)。ちょんまげブームの終わりが訪れた。

 流行は、一周するもの。死語の代表格であったハズの「ハッスル! ハッスル!」が今年の流行語大賞にノミネートされるなんてことが実際に起きるのだ。紅白歌合戦でマツケンサンバが放映されたと同時に、男子が皆ちょんまげを結いはじめるなんてことが、ありえなくもない。来年は江戸時代以来のちょんまげヘアブームが巻き起こるかも。ブームに乗り遅れないように、君もさっそく結ってみてちょんまげ(←ごめん、やっぱり寒いわ)。

追記:ところで良男さんって誰だ? 山口良一か? 阿佐ケ谷はやはり、いろんな意味で昭和な街である。

by yoshimuratomoki | 2004-11-28 19:29