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滋賀県スナップ 「マイコン」

JR「彦根」駅で降り、南へとくだってゆくと、21世紀への扉を見失った迷子のような、居心地のよいかげりが横たわる街が現れる。
懐古調と呼ぶまでには発酵していない、レトロなりかけな街。
滋賀県にはこういった、愛すべき、こさびしい通りがたくさんある。

人の往き来がまばらなこの街をノンシャランに歩いていたら、一軒の電器店に、まさに街のムードを象徴したこんな看板が遺っていた。

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「マイコン ビデオ レーザーディスク ワープロ」。

どれも一世を風靡しながら時代の役目を終えた“古びた最新機器”。
「マイコン」の書体が8bitチックな粗いドットで形成されているのが凝っている。
そうそう、このギザギザこそが未来への階段だった。

パソコンの前身と言える「マイコン」って言葉、もう通じないだろうな。
石原良純が『太陽にほえろ!』で「マイコン」と呼ばれていたことも。

以前、電車の中でおばちゃんふたりがしきりに「マイコンはええわ~。やめられへんわ~」と言っていたので、この世代はまだパソコンではなくマイコンなのか? と思ったら、佃煮の「舞昆(まいこん)」のことだった。
ほかほかの白ごはんに舞昆を乗せて食べたら最高なのだと。
マイコンにはマウス、まいこんにはライス。
時代とともに「COMP(コンプ:コンピュータ)」の姿は変われど、昆布はいつの時代もなにも変わらないようだ。
なんだその話。

ところで「マイコン」を、僕はてっきり「マイ(私の)コンピュータ」の略だと思っていた。
これまで研究室にしかなかったコンピュータを私物化できるようになった、そういう意味なのだと。
そしてのちに「MY(マイ)コンピュータ」がさらに個人占用の度合いを高め、「Personal(パーソナル)コンピュータ」「パソコン」へと深化を遂げたのだと。

……マイクロコンピュータの略称だったんですね。
しかもマイクロコンピュータ自体が「CPUとしてマイクロプロセッサを使用したコンピュータ」の略なのだとか。

で、CPU……って、なんだ。
石原良純に訊けば、タウンページで調べてくれるかな。


吉村智樹事務所http://www3.to/tomokiymail

by yoshimuratomoki | 2012-12-28 15:57 | 滋賀県