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ヒゲとボイン

 世の中には「自分は病院になど行ったことがない。国民健康保険料は国に寄付しているようなものだ」と豪語なさる方がいる。

 しかし、どんなに健康な人でも、まず一度はお世話になっている病院がある。それは産婦人科。お産婆さんにとりあげられた人は別として、ほとんどの人が産婦人科が初クリニック体験のはず。

 僕には子供がいないので、自分が産まれたっきり、とんと産婦人科にはご縁がない。だから街を歩いていても、産婦人科の看板をスルーしてしまう。しかし阪神本線『御影』駅前にあったこの看板だけは、思わず内視鏡で凝視したくなるほど見入ってしまった。

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 『ひげ産婦人科

 院長がひげをこんもりたくわえているのだろうか。いや、ま、まさか助産婦さんが……。しりあがり寿の漫画みたいに。それとも黒澤映画の名作『赤ひげ』のように、お値段をお安~くしてくれるとか?

 とはいえ、ひげと出産は、あながち無関係とは言い切れない。
 たとえばカブトムシのオスは、メスが分泌するフェロモンに誘われて、求愛→交接する。その際、フェロモンを出しているのがどのメスなのかを探り当てる役目を果たすのが、ひげ。オスは口ひげでメスの背中をやさしく撫で、そして確認ののち後ろから覆いかぶさるのだ(カブトムシのひげには、鼻や舌と同じ機能がある)。

 女性のなかには「男の人のひげがジョリジョリするの、好き~」とおっしゃる方がおられるが、ひげ撫でを快く思うのは子孫を残すために備わった動物の本能なのだろう(ちなみに、僕は言われたことはないが)。

 実際は「ひげさん」という方がやってらっしゃる産婦人科なのだろう。が、それはそれでスゴクない?(吉村智樹

by yoshimuratomoki | 2006-02-08 21:08