メモリーズ・オブ・ブルー

 いよいよ大晦日。今年一年、読者の皆様にはたいへんお世話になりました。情報をくださったり、コメント欄に感想を書いてくださったり。皆様の励ましの言葉のおかげで、なんとかexciteさんとの約束である「月10本ノルマ」を達成することができました。そして、このブログを本にすることができました。重ねてお礼申し上げます。来年も靴の底がスルメみたくなるまで街を歩き尽くす所存であります。

 そんな貴闘力の押し出しなみに年の瀬も押し迫ったきのう、都営大江戸線『牛込神楽坂』駅前の坂をくだっていたら、一軒の和菓子屋に、まさに歳末の風景そのものな貼り紙がしてあった。

a0037241_8555341.jpg


 『何んとも腹立たしい一年だった。でも私一人ハギシリしてもどうにもなず

 和菓子屋の軒先でいきなり「腹立たしい一年」とは、なんとパンキッシュな。腹立たしすぎて「ら」抜き言葉になってる。ていうか、なにがあったか知らないけど、通行人にそんなこと言われても……。きっと一年を回顧しているうち、ムカつくことが団子状に浮かんできたんだろう。オハギを作っているうちにオハギシリしてしまったんだろう。

 とはいえ、確かに腹立たしいことが多い一年だった。毎年そうなんだけど、今年は特に。個人的には幼女をあやめた犯人が見つからないまま年を越してしまうのが悔しくてならない。

 世の中なんて、そんなに簡単にはよくならない。ただ、小さなささいな幸福を、お茶とともに噛み締めるわずかな時間、そのわずかなリセットタイムで、少しだけましになるんじゃないかと思う。お茶請けには、淡い甘さの和菓子で。

 では皆さん、よいお年を。

吉村智樹が無責任編集 おしゃべりWEBマガジン『日刊 耳カキ』。
 読んでね。投稿してね。メールもこちらからお受けしております。

  ▼ このブログが本になりました! ▼

a0037241_641226.jpg


 ブログ未発表コラム&未発表写真もたっぷり200連発! みうらじゅんさんとの対談、パラパラ漫画もついて、たったの880円! 『吉村智樹の街がいさがし』(オークラ出版)。全国の書店にて発売。またAmazonにて購入できます
[PR]

by yoshimuratomoki | 2005-12-31 08:59

ザ・メンズメンズワールド

 今回は、気にしなければ素通りできるネタだ。人によっては「これのなにが面白いの?」と思うかもしれない。ただ、ひとたび気になりだすと、もうその場から離れられなくなる深みがある。

 僕の住んでいる高円寺にある、某量販店のトイレ。そこにはこんな表示がある。

a0037241_21545140.jpg


 『紳士化粧室

 トイレのことを化粧室と表示している店は多い。特に珍しいことでもない。しかし、その前に「紳士」と書かれると、なぜか不思議なトキメキ、いや胸騒ぎを憶えるのは、私だけでしょうか。

 かくいう僕も、カミングアウトさせていただく。実は最近、たまに化粧をするようになったのだ。いやいや、ソノ世界に目覚めたわけではない。テレビの仕事でメイクさんから「吉村さんは眉毛に無頓着すぎる」と言われたのがきっかけ。

 僕の眉毛は中央に寄った部分だけ濃く、あとは薄くまばらに生えている。しかも左眉毛の真ん中にポツンとハゲがあるのだ(眉毛もハゲと呼ぶのかどうか知らないが)。「生え方にムラがあると印象がよくないし、運気が低下する」と言われ、さっそく眉毛を描く鉛筆みたいなものを買った。いまは眉ハゲの部分を黒く塗って外出するようにしている。紳士の身だしなみとして。

 しかし女性と違い慣れてないから、たまに塗りすぎて鬼瓦権三みたいになってしまう。外出先で鏡を見て、思わず「冗談じゃないよ~」とトイレに駆け込み、ティッシュで拭き消すこともしばしば。

 あ、トイレじゃなかった。紳士化粧室に(吉村智樹

吉村智樹が無責任編集 おしゃべりWEBマガジン『日刊 耳カキ』。
 読んでね。投稿してね。メールもこちらからお受けしております。
[PR]

by yoshimuratomoki | 2005-12-29 21:57

ビハインド・ザ・ブリッジ・トゥ・エレファンク

 毎回毎回「寒い寒い」と書いて申し訳ない。が、ほんと、このごろ寒いですね。今日の東京の気温は平年を遥かに下回るとか。なんでも今冬は20年ぶりの寒冷気候。つまり東京に出てきて10年目の僕は、初めてこの寒さを経験することになる。うぅ……。

 こんなときはアツいコーヒーを飲むに限るわい。東京メトロ銀座線・丸ノ内線『赤坂見附』駅付近で仕事が終わった僕は、ビビッてる亀の如く首をすくめながら喫茶店を探した。すると、アツいどころか寒さをいやおうなしに増幅させる店に出くわした。

a0037241_803459.jpg


 『喫茶室 橋の下

 オープンカフェは好きだけど、それはさすがに風がキツイのでは……。特にこの季節は。

 「橋の下」と聞くと、すぐ捨て子を想像してしまうのは、僕だけだろうか。子供の頃はよく、親に叱られると「橋の下に捨てるよ」「あんたは橋の下で拾ってきた子だ」と言われたものだ。

 橋の下に子供を捨てるという哀しい話は、古くは戦国時代に文献が残っているという。当時は雨風がしのげる場所が、橋の下しかなかったのだ。また、松尾芭蕉の句にも、川原で捨てられた子を詠ったものがあるらしい。

 逆説もある。江戸時代、生まれた子供を橋の下に置き、他人に拾わせることで運気を変えて健やかな成長を願う習わしもあったとか。

 とはいえ、そういうことは、あんまりしないほうがいいと思うのである(当たり前だよ!)。(吉村智樹

吉村智樹が無責任編集 おしゃべりWEBマガジン『日刊 耳カキ』。
 読んでね。投稿してね。メールもこちらからお受けしております。
[PR]

by yoshimuratomoki | 2005-12-27 08:02

ロウ・ライク・スシ

 寒くなると異様に腹が減るのは、僕だけだろうか。生来の極端な寒がり、アンチ寒さゆえ(アンチとは言わないか)、きっとなにか食べて、その間に寒さから逃避しようとしてるんだろうな。

 しかし、冬は食べ物が美味しい季節なのも、また事実。特に魚。特に特に寿司。脂の乗ったカンパチ、こってりしたアンキモ、透き通ったヤリイカ、この季節は生でもうまいタコ、もぉ、たまりまセブン。でも、お値段の方もチト脂が乗ってるので、そう簡単には口にできない。あ~、寿司食いてぇ。肩までつかりてぇ。寿司風呂に。

 そんな僕の腹減りコプターズ加減を逆撫でするような店に出くわした。池袋を歩いていて見つけた、これ!

a0037241_10475716.jpg


 『築地海鮮 すしまみれ

 この世に、これほどの幸福の表現があるだろうか。ワラにまみれて育てた栗毛、その儲けた金で、寿司にまみれて腹いっぱい。これこそ日本人の幸せ。寿司にまみれて暮らしたい。お寿司の家に住みたい(耐震構造が心配だが)。

 で、いきなり話は季節を度外視で夏に飛ぶ。

 僕は関西育ち。京都の商家には古くから、夏になると、お世話になった店に鯖寿司を持って挨拶に行く習わしがある。そして鯖寿司を貰ったお礼に、鱧寿司を渡す。寿司を持っていって、寿司を貰って帰る。意味ね~

 いや、そうではない。海の遠い京都のこと、昔は寿司をこさえるのに金も手間もかかっただろう。しかも生ものが腐りやすい……夏(渡部篤郎)。その手間を惜しまず寿司交換することで関係を保ったのだ。だから夏の京都はどこの商家も寿司まみれになるのだとか(吉村智樹)。


吉村智樹が無責任編集 おしゃべりWEBマガジン『日刊 耳カキ』。
 読んでね。投稿してね。メールもこちらからお受けしております。
[PR]

by yoshimuratomoki | 2005-12-26 10:50

今さらジロー

 僕は100円ショップのハードユーザーだ。

 仕事に煮詰まると、たいてい近所の100均に行ってはオトナ買い(700円くらい)して憂さ晴らし。差し迫った理由もないのに携帯電話ホルダーやらなわ跳び用の縄やら買ってきては、事務所に戻って「なんでこんなものを買ったんだろ」と自己嫌悪。仕事はさらにグツグツ煮詰まってくる。
 せっかく買ったので携帯電話ホルダーは鞄につけたけれど、肝心の携帯電話はしょっちゅう事務所に忘れてくるし……。なにもホルダーしてない。もう100円以下ですわ、オレ。

 いらんもん買いする癖、忘れ物をする癖、子供の頃からずっと続いている。一時期は手のひらに「今日は無駄遣いするな」と油性マジックで書き込んだりもしたけれど、その書き込んだ文字を見るのを忘れ、また同じ過ちを。もうこの癖は、治らないんだろうな、いまさら。

 そんな自分の悪癖を見透かされているかのような店に出くわした。東京メトロ丸ノ内線『茗荷谷』駅を降りたら、こんな100円ショップを見つけた。

a0037241_1928463.jpg


 『100円ショップ IMASARA

 一瞬、「松田聖子の娘?」と思ったが、違った(ぜんぜん似てないやん)。い、いまさら……。ありおりはべり、いまさら……。

 やっぱり、IMASARA100円ショッププレイはやめられない! さっそく店に入り、食器を洗うスポンジやら小物入れやら、また買ってしまった(小物入れを買いすぎて、うちには『小物入れ入れ』まである)。

 レジの人に店名の理由を聴くと、「さぁ」。歳末ということもあってレジは長蛇の列。忙しいさなかだったので、訊くタイミングが悪かったか。それとも、もう何度も何度も訊かれて、「いまさら何を」ってことだったのかな(吉村智樹

吉村智樹が無責任編集 おしゃべりWEBマガジン『日刊 耳カキ』。
 読んでね。投稿してね。メールもこちらからお受けしております。
[PR]

by yoshimuratomoki | 2005-12-24 19:30

チキン・リトル

 前回と同じく、実家の最寄り駅である京阪本線『香里園』駅前の商店街を歩いていると、一軒の銭湯があった。銭湯の前には、営業時間や料金が書かれた大きな看板が。

a0037241_7461425.jpg


 ごくごく普通の、よくある光景。動物(猫?)の頭にタオルが乗っているのがカワイイ。ギザカワユス。

 「特に、なんもないか」と通りすぎたとき、またも急に胸騒ぎが。引き返してみると、案の定

a0037241_7465168.jpg


 『毎週月曜日(けっこケッコと休むよ)』

 うむ。意味がまるで判らない。「けっこケッコ」って、鶏の鳴き声? 風呂にほとんどつからずに出てくることを「カラスの行水」というが、鶏になると行水どころか風呂に入るのを休んじゃうんだろうか

 よく見ると、紙が貼りなおしてある。前はなんだったんだろう。なんという鳴き声だったのか。ゲロゲーロ?

 それにしてもこの看板、前回紹介した「ビューティサロンおてもやん」から500メートルも離れていない位置にある。うちの実家の近所、ヘンな磁場があるとしか思えない。僕にとってそれは好都合ではあるんだけど。けっこ結構(吉村智樹

吉村智樹が無責任編集 おしゃべりWEBマガジン『日刊 耳カキ』。
 読んでね。投稿してね。メールもこちらからお受けしております。

  ▼ このブログが本になりました! ▼

a0037241_641226.jpg


 ブログ未発表コラム&未発表写真もたっぷり200連発! みうらじゅんさんとの対談、パラパラ漫画もついて、たったの880円! 『吉村智樹の街がいさがし』(オークラ出版)。全国の書店にて発売。またAmazonにて購入できます
[PR]

by yoshimuratomoki | 2005-12-21 07:49

ジャスト・マリッジ

 僕の実家の最寄り駅、京阪本線『香里園』駅前商店街を久々に歩いていたら、こんな看板があった。

a0037241_1932529.jpg


 商店街の案内板だ。気にも留めず通りすぎたあと、ふと胸騒ぎを感じ、看板のある場所へ戻った。そしてよくよく見てみると、やはりそこにはただならぬ店名が。

a0037241_19332689.jpg


 『ビューティサロン おてもやん

 お、おてもやん? ビューティサロンの名前が、おてもやん? ティモテと、おてもやんを書き間違えたのか?(間違えねえよ)。

 結婚式の当日、女性は必ず髪をきれいに整えるものだ。「おてもやん」も「あんたこの頃、嫁入りしたではないかいな」と結婚をテーマとした、日本を代表するマリッジソング。いや、だからって、なにも! これでいいのかしたばってん。思わずそんなニセ九州弁で問いただしたくなる。

 おてもやんは古くからある陽気リズムの熊本民謡だが、標準語訳すると、意外な現代性が見えてくる。

嫁入りしたこたしたばってん(ま、入籍したのはいいんだけどさ)」から続く歌詞は、「相手がブ男だから、披露宴をする気にならないの。仲人さんが、あとはなんとかしてくれるんじゃないの? ほかにも言い寄る男はたくさんいるけど、どれも野暮ったくて好みじゃないわ。なんかフィーリングが合わないって言うかさ」と、いたってクール。三宿あたりのダイニングバーで、細みのメンソールたばこをくゆらせながら女性どうしが話をしているような。

 そういう点で、おてもやんは普遍的なクールビューティたちの歌といえるだろう。ビューティサロンの名前が「おてもやん」なのも、こう考えれば頷け……いや、やっぱり頷けなかばってん!(吉村智樹



 話はいきなり変わりますが、コメント欄に駅長ママさんから「九州ラーメン どさんこ という店がある」とご投稿をいただきました。情報ありがとうございます。それをさらに上回る、ランボー怒りのアフガンチックな「どさんこ」もありましたよ。

a0037241_19354410.jpg


吉村智樹が無責任編集 おしゃべりWEBマガジン『日刊 耳カキ』。
 読んでね。投稿してね。メールもこちらからお受けしております。
[PR]

by yoshimuratomoki | 2005-12-18 19:37

ヘルハウス

 寒い寒いと、ない首をさらにすぼめながら「なんば」の街をぶらついていたら、こんな寿司屋があった。

a0037241_23332111.jpg


 『寿し 料理 あばらや

 あばらやとは「荒家」と書く。言わずもがな、住む人がいなくなって朽ちた家のこと。寒風吹きすさぶなか、さらに身をこごえさせる店名。鼻水が垂れてきそう。店長の名前は、まことちゃん?(それ、サバラ)。

 ところで皆さんは、「寿司屋の湯飲みが異様にデカい」ことを奇異に思ったことはないだろうか?

 あれは江戸時代、握り寿司の店が屋台だった頃の名残り。往時、寿司はいまで言うファーストフード的存在で、屋台でさっとつまんで小腹をなぐさめるのがノーマルパターンだった。
 冬の屋台は吹きさらし。特に寿司屋台の多くが川沿いに軒を張っていたので、冬の寒さもひとしお沁み沁み。そこで湯飲みを厚く大きくし、たくさん注ぐことでお茶の温度が下がらないようにしたのだ。

 寒空のもと、あっつ~いお茶をすすりつつつまむ寿司は、きっといまよりもずっと美味しく感じたろうなぁ。この店は、そんな時代の寿司のありがたさを思い起こさせるよう、この名にしたのかもしれない。

 あくまで憶測。店に入ってません。なんせ手持ちがなく、回転寿司さえ行けないほど懐が寒かったので(吉村智樹

吉村智樹が無責任編集 おしゃべりWEBマガジン『日刊 耳カキ』。
 読んでね。投稿してね。メールもこちらからお受けしております。
[PR]

by yoshimuratomoki | 2005-12-11 23:35

ステップ・バイ・ステップ

 師走は物入りだ。出費がかさむことをよく「お金に羽が生えたよう」と言うが、この季節のお金はジェット機の如き速さで飛んでいく。お金、欲しいなぁ。道端に気前よく落ちてないもんだろうか。3億円くらい。あ、3円置くんとちゃいますよ。

 大阪市営地下鉄堺筋線『扇町』駅を下車。ドンペリ開けながら札束風呂につかっている自分を妄想しつつ、昼食にうまい棒をかじりもって天神橋筋商店街を歩いていると、一軒の雑居ビルの階段にこんな表示があった。

a0037241_17474489.jpg


 『大金持ちへの階段

 レッド・ツェッペリンに『天国への階段』という曲があるが、その邦題をさらに具体化したような。

 金、カネ、大金持ち……。僕はよだれを垂らしながら、吸い寄せされるようにこの階段をのぼった。

 するとそこにあったのは、金券ショップ。この店が言うには、

a0037241_1748125.jpg


 気分かよ! 確かにディスカウントチケットで買った方がお得。だが、その差額を貯めて大金持ちになるなんて、何代先になるやら、やるやら。

 大金持ちへの階段は、どうやら途方もなく長いようだ。非情階段。金比羅さんくらい? きっと僕は、階段をのぼっている間に果てるんだろうな(吉村智樹)。

吉村智樹が無責任編集 おしゃべりWEBマガジン『日刊 耳カキ』。
 読んでね。投稿してね。メールもこちらからお受けしております。
[PR]

by yoshimuratomoki | 2005-12-10 17:50

Mr.アンダースロー

 以前コメント欄に読者の方が「さんま歯科という病院があります」という投稿をしてくださった。その節は、ありがとうございます。阪急京都本線『高槻市』駅前をぶらぶら歩いていたら、偶然にも遂に本物と遭遇。やった! ご本人登場!

a0037241_3303222.jpg


 さんま歯科、出っ歯の矯正を得意とする歯医者さんか? それとも、やたらよく喋る人が院長なのか、はたまたレンジローバーをぶっ壊されたのか?(←いつの話だよ!)

 読者のなかには、前歯が出ていることを気になさっている方もおられるのではないか。ちっとも気にすることはない。さんまさんを筆頭に、前歯が出ている有名人はたくさんいる。

 久本雅美、柴田理恵、MEGUMI、モーニング娘。の新垣里沙、ミッキーマウス(もともとネズミだろ)。みんな人気者だ。特に女性は、ちょっと前歯が出てるのはチャームポイントですらあると思う。実際、MEGUMIがデビューしたとき、僕は胸そっちのけで、まず「歯がかわいい」と思ったもんな。

 そういうわけで、もしこれ読んでたら、連絡ください。MEGUMIさん(吉村智樹

吉村智樹が無責任編集 おしゃべりWEBマガジン『日刊 耳カキ』。
 読んでね。投稿してね。メールもこちらからお受けしております。
[PR]

by yoshimuratomoki | 2005-12-05 03:33