スピードキング☆スカルフレイム


阪神「尼崎」駅へ向かう線路沿いの通りを歩いていると、ある焼肉店に、迫力満点されど切符は減点なコピーが貼ってあった。

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「味のスピード違反」!

おぉ、言葉の意味はよくわからんが、とにかくすごい自信だ。
ならば1500円という料金は反則金と呼んでいるんだろうか。

最近の焼肉店ではカルビやロースの車線を追い越す勢いで「ハラミ」の人気が急上昇している。
ハラミは横隔膜。
内蔵(いわゆるモツ)だから脂肪分が少ない。
それでありがなら赤身肉のように厚い「たべで」があり、やわらかく、栄養たっぷり。
腹持ちがいいのにヘルシー。
ダイエットにはもってこいの、夢のような部位だ。

ただ一匹の牛から取れる量が少ないため、質のいいハラミは入手困難。
ゆえに「いいハラミが仕入れられる焼肉店は、ほかの肉も必ずおいしい」と言われるほどバロメーター的役割を担っている。
“幻”を謳うほどだから、この店の肉はどれもめったにお目にかかれぬほどフレッシュなのだろう。

とはいえご用心。
ハラミは低カロリーだが、あまりのおいしさに、ついついビールやごはんが進んでしまう。
気をつけないと、食後は2、3キロオーバーしてしまうかも

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by yoshimuratomoki | 2010-03-30 02:21 | 兵庫県

ブルー・オイスター・カルト


梅田の地下街を歩いていたら、こんな好戦的なメニューが。

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カキフライは、揚げもののなかでもとりわけステージの高い、別格なひと品だ。
注文すると、必ずといってよいほどタルタルなど専用のソースが添えられる。
また店によっては、カキフライにだけ上等なポン酢をセットする場合がある。

ぷりっぷりに丸っこい牡蠣に火が通ると、泉のようにジュースがあふれ出す。
なんというエロおいしさ。
カキフライはそれだけ貴賓待遇される、フライ界のフライ級チャンピオンなのである。

そんなカキフライがこれだけ語気を荒めるということは、よほどの辱めを受けたのだろう。

牡蠣は多くの人に愛されながらも、同じくらい誤解を受けやすい食べ物だ。
常套句のように「旬は冬!」と刷り込まれ、海外には「Rがつかない月(5月~8月)の牡蠣は食べるな!」ということわざまである。
春を過ぎると牡蠣の身が痩せ細ってしまい、おいしくなくなるから、だそうだ。

しかし、一概にそうとは限らない。
日本の場合、漁場でのプランクトンの発生が盛んになるのは4月以降。
牡蠣はそのプランクトンを食べ、夏の産卵に備えて太る。
ゆえに海外とは逆に「Rのつく月のほうがおいしい」とすら言える。
三重県で獲れる岩牡蠣は「夏ガキ」とも呼ばれ、Rがつく月にこそ絶好調だ。
牡蠣は複雑かつ官能的な食感で人々を魅了する魔性の女、まさに「Rの女」なのでR。

なのに春以降の牡蠣は味が落ちるという、迷信に近いことをいまも信じている人が多い。
「てやんでー!」とヤケを起こすのも、無理からぬことだ。

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by yoshimuratomoki | 2010-03-28 17:37 | 大阪府

ポカホンタス koneta



先日、京都で七代続く老舗の和菓子屋さんを取材した。
「七代」って簡単に言うが、凄すぎるでしょ!
なんせ初代は江戸時代の人なのだから。

まぁ京都は「七代目? おほほ。そうどすか~。うちは十四代目どすけど」なんてハードコアな老舗がごろごろしているので、七代くらいじゃまだ「老舗の若手」なのだろう。

しかし、これは以前「日経流通新聞」の記事で読んだのだが、創業者が二代目に引継いで成功する例はたった30%。
二代目から三代目となると、わずか7%しか成功例がないのだそうだ。
それが「七代」となるともう、電卓のどこを叩けば答えが出るのかすらわからない(わかれよ)低い確率だ。

素材の味や栽培方法、穀物の市場(しじょう)が大きく変動する製菓の世界で、七代も変わらぬ味を死守し続けるのは、気を失うほどの努力を要するだろう。
京都がいまもちゃんと「京都っぽい」ままなのは、若旦那たちのたゆまる努めの賜物なのだなと感心するばかり。

かたや大阪。

淀川区に気さくにもほどがある、エクセレントなネーミングのスナックがある。

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♪あの娘はあんぽんたんママ~、やってきたのは淀川区~。

そんな飯田久彦の(あるいはダンシング義隆の)寝言みたいな鼻歌が出るほど、ほほえましい脱力感を憶える店名だ。

そもそもスナックは心のよろいをおろす場所。
あんぽんたんな話に花を咲かせて無心にマラカスを振れば、日々の瑣事がいいブレンドでどうでもよくなる。
スナックは、そんな天国。
天国は水割りの味がする(都築響一)のだから。

さてこの「あんぽんたん」、実は同じ区内に意外にも姉妹店ならぬ親子店がある。

それが、これ。

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なんでもママの義理の息子さんが開いた店だったのだとか。

残念ながら、すでに「貸店舗」に。

二代もたなかった……。

やっぱりママだから許されるけど、「むすこ」だと踏み込んではいけないデリケートな問題をはらんでそうで、見て見ぬ振りしてしまう店名なのかも。

ちなみに「あんぽんたん」とは、万病に効く伊勢の秘薬「萬金丹」になぞらえた「あほにつける薬」という意味の伝説の薬らしい(ふと、呉智英を思い出したのはなぜだろう)。

スナックじゃなく、ドラッグストアだったら代々継いでゆけたのかもなあ。
あんぽんたんキヨシとか。

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by yoshimuratomoki | 2010-03-27 18:08 | 大阪府

カフェ・ド・鬼 koneta



驚いた。
夜、JR宝塚線「中山寺」駅周辺を歩いていると一瞬、車のヘッドライトによって一体の置き看板が照らしだされた。

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金物の鬼

夜道に突如またたいた、インパク度ありすぎ看板。
まさに孤灯の鬼だ。

……で、結局、なんなんだ? 「金物の鬼」って。
英訳すると「SPK」とか「ノイバウテン」とかか?(ノイバウテンは英語じゃないだろ)。

実際、金物をつくる職人さんの世界には「鬼気」が漲っている。
僕の父親はかつて鋼球をつくる工場で働いていたが、往時は環境が劣悪で、工場のなかが尋常ならざる高温になったという。
衣服に炎が燃え移っても気づかずに仕事を続けていた作業員が何人もいたほど。
また、炎が燃え移った場合に飛び込むための風呂桶が、あたりまえのように設置されていたのだそう。

すべての職人さんの世界は厳しいが、金属加工の世界は格別だろう。
取材で彫金、鋳金などさまざまなジャンルの打物師(金属加工職人)と出会ったが、一枚の金属板を金槌で叩いて叩いて叩きまくり、鍋や湯さしをつくりあげてしまう「鍛金」の工房で見た光景は、そらもうヘヴィ・メタルだった。
鬼の形相で、一心不乱に何度も何度も打ちつける。
すべてが目測。
全力と冷静が、火花を散らすようにせめぎあう。

僕は職人さんに「こういう世界って、10年修行しないと一人前にはなれないんですよね?」と尋ねた。
すると職人さんは、笑顔でこう答えた。
「いや、10年経って、やっとむいてるかむいてないか、わかるんや」。

訊けばこの職人さん、工房をたちあげる前は大手調理器具店の打物師として50年間も働いていたという。

50年で、やっと独り立ち……。
鋼の錬金術師、一日にして成らず。
まさに鬼の執念。
そら来年の話レベルじゃ、鬼も苦笑するよりほかないわな。

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by yoshimuratomoki | 2010-03-21 23:08 | 大阪府

ほっといて~Stop teasing me

人恋しくて、酒場のおやじやママとの会話を楽しみたい気分の時もあれば、ひとりでじっくり飲りたい、誰からも話しかけられたくない夜もある。

特に明日朝イチ提出の宿題を抱えているような夜は、人に話しかけられるとアイデアが頭んなかのどっかのファイルに紛れこんでしまい、行方がわからなくなる。
だからひとことで酒場と言っても、その微々たるあんばいを決して読み誤ってはならない。

先日、仕事の資料を抱え、どこぞの郷土の小料理屋に入った時のこと。
その店のママは「あら、お仕事? たいへんねえ」「これには、この焼酎が合うのよ」と、さかんに声をかけてきてくれる人だった。
あぁ、優しくて、いい店だなぁ。

しかしノートを広げ書きものをしている最中でも、
「それ、食べないの? 冷めちゃったからレンジで温めようか?」
「あら、プチトマトは食べないの? 栄養あるのよ」と、いちいち世話を焼こうとする。
どうやら「家庭的な雰囲気がウリ」な店のようだ。

実は、苦手なのだ。
そういうドメスティックな雰囲気の店が。
一度、家庭を壊しているだけに、古傷が痛む。
家庭“圧”が重く感じてならない。
あともうひとつ、実は、苦手なのだ。
プチトマトを食べるのが。

仕事にならない。
だんだん「ほっといてくれ!」という気分になってきた。
店が悪いんじゃない。
この場合、僕が店選びを誤ったのだ。

これは阪急宝塚線「岡町」駅前を歩いていたおりに見つけた看板。

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こうして「ほったらかし」とハナから宣言してくれている店は、おおいに助かる。
一世と言わず、ぜひ二世、三世にも継承していっていただきたい。
できればお勘定の際もほったらかしてくれると、さらにほほえましいのだが、それは無理な注文だろうか?(当たり前や)

「ていうか、だったら飲み屋なんか行かずに、自宅で仕事すりゃいいのでは?」
その通り、その通りなんだが、なぁ……。

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by yoshimuratomoki | 2010-03-20 21:53 | 大阪府

チョコレイトディスコ



巷では酒が好きな人を辛党、お菓子が好きな人を甘党と呼び、まるで二大政党制であるかのごとく対立させる。

しかし僕は、酒も飲むし、甘いものも大好きだ。
酒のアテにお菓子をつまむことにも抵抗感がない。

たとえば冷たいビールをぐいっとあおりながらモンブランをつついたり、雪の降る夜にこたつに入り、ちんちんの熱燗をキュッとやりながらしみじみマカロンをほおばるなんて、望むところ。
五臓六腑に染み渡るピスタチオクリーム、日本に生まれてよかった~と思える瞬間だ

そんなふうに甘いおつまみたしなみ人間の僕だが、「いや、そういう意味じゃない!」と思わずあとずさったほど、ハードル高いスイーツにでくわした。

これは神戸・湊川の商店街にある乾物屋「豆福」に貼られていたもの。

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チョコするめ

するめに、チョコ。
これは手ごわい。

確かに酒のつまみのことを「さかな」と呼ぶ。
が、だからってそんなにさかなに近しいものにチョコをまぶすとは。
「チョコ」+「するめ」という計算式が、どうしても頭の中で溶けあわない。
この違和感、強引感は、「旅サラダ」という言葉を聞いて以来だ
隣の女性歌手もこの事態に思わず苦笑。

いや、前例としてチョコレートコーティングの柿の種がある。
あれはうまい。
するめ独特の「いそくささ」さえ解決していれば、意外とアルのかもしれない。
中島美嘉と森三中のバンドを思わせるこの異色のコラボは、イカにして生まれたのだろうか。
店のおばちゃんに訊いてみた。

「最近、するめといえば中国の輸入物ばかりでしょう? 輸入品が悪いとは言わないけれど、やっぱり乾物は国産じゃないと安心できないわよね。うちのは近海で獲れたイカを新鮮なうちに天日で干した国産品。歯ごたえのよさ、やわらかさ、味の深みがぜんぜん違うのよ。チョコレートもそう。まがいものじゃない高級チョコレートを使っているの。香ばしさがまるで違うわ。本物のチョコレートだから寒い季節じゃないと溶けてしまう。だから季節限定。いまここに並んでいるぶんで今年は終わりなの」

うん、なるほど。
……いや、そういうことが訊きたかったわけではないのだが

というわけで実際に買って帰って、食べてみた。

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するめであることをのぞけば、おしゃれなチョコフォンデュである。
味は……もともとのするめがおいしいから、いける。
悪くない。
そりゃもう、なんせ国産だから。

するめはそもそも茶褐色の液体をはきだす生き物。
そう考えればこの2TONE、意外と理にかなっているのかも。
ふと「イカにもスミにも」という番組を思い出した。

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by yoshimuratomoki | 2010-03-13 21:23 | 兵庫県

マルコヴィッチの穴 koneta


コンビニに並んでいる女性誌にふと目をやったら、表紙にこんな文字が踊っていた。

「なくそう毛穴まつり」。

毛穴まつり……どんな祭だそれは。
鼻や頭皮の毛穴から絞り出したタンパク質たっぷりの角栓をお地蔵さんにねとねとなすりつけて豊作を祈願するとか?
あるいは治療用のレーザーが夜空を飛び交うファンタジックなフェスだろうか。

いずれにせよ衛生面に問題ありそうな祭なので、確かになくすのが得策だろう。
……と思って再度よく見たら「なくそう毛穴つまり」だった。
まったく、穴があったら入って暮らしたいほど恥ずかしいケアナレスミスである。

しかし、毛穴まつりはないとしても、こんな名前のバス停は実在する。

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毛穴なかよし橋

ついブラマヨ小杉とギャロップ林がスキップしつつ、なかよく手をつないで橋を渡る姿を想像してしまう、おぞましかわいいネーミング。

実はこのバス停、大阪は堺市の「毛穴(けな)」にある。
毛穴(けな)という地名は、鎌倉時代にこのー帯を統治していた毛穴氏ー族の名に由来するという(「けなし一族」と口に出して言うと、悲しいものが胸にこみあげてくる)。

でもま、友達とバスに乗りながら「この頃、鼻の先っちょが黒ずんできて~」「最近、抜け毛がひどくて。俺の頭の毛穴、どうやら力尽きたみたい」などと自虐ばなしに華を咲かせていると、友情もさらに深まるというもの。
まさに毛穴がつなぐ友好の橋。ここは、いっそうクサい仲になれる穴場である。

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by yoshimuratomoki | 2010-03-07 20:52 | 大阪府