人気ブログランキング | 話題のタグを見る

京都スナップ 「知らんけど」

京都スナップその2 「しらんけど」

妻が「バスで北大路方面を走っていたら、車窓から変な名前のお店が見えたよ」と言う。

「変な名前? なんていう店?」と訊くと、「いや……しらんけど」。

知らんのかい!
そういう大事なことは(僕には大事なことなので)憶えておいてよ~、とブーたれたのち、自転車で教えられた場所へ向かったら……あった。

店の名前は、

京都スナップ 「知らんけど」_a0037241_13244946.jpg


カラオケ喫茶「しらんけど」。

本当に「しらんけど」という名前の店だった。
ちゃんと教えてくれていたのに、愚痴ってごめん、母ちゃん、堪忍。

「カラオケ喫茶」とは、その名の通りカラオケシステムがある喫茶店のこと。

……なのだが、実際はご年配ののど自慢主婦たちが集う寄りあい処と化す。

たいていがママの自宅を兼ねており、ご近所の奥様方が手作りのお惣菜を持ち寄り、分けあうことが許されている。
いま流行の言葉で云うと、歌える「住み開き」だ

ドアを開けると、六本木や原宿を舞台とした、シティ演歌なるジャンルのサウンドが耳に飛び込んでくる。
店内は喫茶店なはずなのに鍋焼きうどんの香りが漂い、窓辺のちょっとしたスペース随所に、靴下を再使用したウサギの人形など、おばちゃんたちハンドメイドによるファンシー雑貨がぎゅうぎゅうに置かれている。
そういう点では一種の、メイド喫茶とも言える

休日ともなれば「キングレコード専属歌手」を自称する近所のご陽気なおっちゃん(正体はレコード会社の自主制作部門歌手)が歌唱指導にあたり、ミラーボールがまたたくなかでの町内会どうしのチークタイムなどもあり、おばちゃんたちの頬が軽く紅潮したりする。

1枚100円~300円ほどのチケットを歌いたいぶんだけ購入し、カウンターのママに手渡しながら一曲ずつ歌う。
たいていの店には小ぢんまりしたステージセットがあり、そこに立つと店内が見渡せる。
グレードの高い店になると照明を点滅させ、さらにカメラを使って店内のスクリーンに「中継」できる機能まで備えている。
カラオケボックスのように知人の前のみで歌うのではなく、一般客も聴いているのだから、緊張感もある。

若者は「としよりくさい」と敬遠するが、もったいない。
これほど出会いの場として、うってつけのソーシャルな(通信カラオケの)ネットワークはない。
個人専用の「ひとカラ」がブームにありつつあるが、逆に見知らぬどうしが歌を聴きあう「おされカラオケcafé」を造っても流行るんじゃないか?
北欧家具が並んでいて、ソファがあって、女子がともさかりえの「カプチーノ」とか歌う感じの(なんでその歌なんだ)。

吉村智樹事務所http://www3.to/tomokiymail

# by yoshimuratomoki | 2012-10-18 13:26 | 京都府

神戸スナップ 「ムカデ入荷しました!!」

神戸スナップ 「ムカデ入荷しました!!」

JR「神戸」駅から西へ、新開地方面へ向かって歩いていたところ、こんな立て札があった。

イーゼルに載せられた黒板に、

神戸スナップ 「ムカデ入荷しました!!」_a0037241_11522253.jpg



「超レア ムカデ入荷しました!!」

ムカデはアゴや脚に毒があり、咬まれると気を失うほどの激痛が走るという。
人命にかかわるほどの毒性ではないとされているが、今年の8月12日の朝、愛知県小牧市の東名高速道路で、車内にいたムカデを追い出すためドアを開けた男性が、後ろから来たトラックにはねられて死亡した事故があった。

このようにルックスのインパクトがすでに殺人級に危険であり、それを捕えて売る人がいることも、欲しがる人がいることも、超レアとしか言いようがない。

ちなみに人間の口と肛門をつなげることに血道をあげるマッドを描いた映画『ムカデ人間』はこのたびPART3の制作が発表され、監督は「今度は500人、つなげる」と息巻いている。
「つながる」「絆」の大切さが叫ばれる昨今、これほどタイムリーな映画はないだろう(世相が求める“つながる”とはちとニュアンスが違うかもしれないが)。

「ムカデ入荷」ということは、マニアックな昆虫専門店かペットショップかな?
実際に全長20センチを超える巨大ムカデをペットとして飼う猛者もいるそうだし。

と、思って店を見ると、なんと焼肉屋だった。

まさかムカデを、食う、のか?
まさかまさか食感が生レバーに似てるとか?
もしや「超レア」って、稀少という意味ではなく……超ナマっこと?

訊けばムカデとは、多くはとれない部位である肩バラの、さらにつけ根あたりの極小なお肉のこと。
帯状にひらべったく細いため、そのためムカデと呼ばれているらしい。
そして、この超レアなムカデが提供できることが、いいお肉を扱っている証しと言えるそうだ。

確かに人気店のようで、お店は、客足が多かった。
ムカデだけに。
ムカデだけに。

ムカデだけに。

吉村智樹事務所http://www3.to/tomokiymail

# by yoshimuratomoki | 2012-10-11 11:54 | 兵庫県

失敗写真(京都)

京都スナップその1 失敗写真

叡山電鉄「修学院」駅へと続く商店街を歩いた。

ここは「けいおん!」の舞台としても知られ、学生の道草にピッタリな、のほほんムードのアーケード通り。

商店街にある一軒のリサイクルショップの店頭に、こんなものが売られていた。

失敗写真(京都)_a0037241_1451131.jpg


失敗写真」。

失敗写真が1枚50円……。

修学院駅がある「えいでん!」の「えんせん!」には、京都造形芸術大学や京都精華大学など芸大・美大が多い。
著作権フリーでトレースできる写真や、コラージュアートの素材となる写真は、あればあるほど学生は助かるだろう。

とはいえ、1枚50円……。
「成功写真」のプリント代よりも高い。

そういえば、デジタルカメラを使うようになってからこちら、写真撮影で「失敗」することは、ほぼなくなった。
できあがりの美醜はおいておいて、最低限の「対象にピントを合わす」という点で、逃すことはもはやない。
軽いポケットカメラですら、手ブレを瞬時に補正してくれるので、そこそこ小奇麗なものは撮れる。
スポーツ新聞で連載を持ていたときなど「重い一眼レフだと機動力が落ちてシャッターチャンスを逃すから」と、ポケットカメラでの撮影を推奨されたほどだ。

そう考えると、失敗写真の、しかもプリントが手に入る機会なんて滅多にないと言える。
「失敗写真」、意外とレアで、価値があるのだ。

50円くらいの価値は。

吉村智樹事務所http://www3.to/tomokiymail

# by yoshimuratomoki | 2012-10-03 14:52 | 京都府

6月26日(火) おもしろ街画像トーク「この街がスゴい!vol.2」開催@さばのゆ大学

放送作家の東野ひろあきさんが開校していらっしゃる現代の寺子屋「さばのゆ大学」。

こちらで6月26日(火)の夜、「この街がスゴい!vol.2」という授業(という名目のトーク)をさせていただくこととなりました。

街のヘンな看板、風景などをプロジェクターで上映しながら、体系だててお話をし、街歩きの楽しさを知っていただこうという試みです。

▼「さばのゆ大学」とは
http://sabadai.com/

開催場所は大阪の福島にあります「さばのゆ温泉」。
かつてはお蕎麦屋さんだったそうで、その頃の雰囲気をそのまま残した、おもむきのある和室スペースです。

「昭和の終わりかけの頃の深夜テレビみたいな、けったいで笑える、それでいて、あとでじんわり、ええ感じやなーと思える。そんなイベント/交流飲み会のメッカ、ヤングの社交場です」とのこと。

お客さんはビールやソフトドリンクなどを飲みながら、くつろいでお楽しみいただけます。

さばのゆ大学「この街がスゴい!vol.2」

講師:吉村智樹

入場料:1500円+1ドリンク
(要予約 sabanoyuonsen@gmail.com)

日時:6月26日(火) 19時半スタート

場所:さばのゆ温泉(大阪市福島区福島2丁目9ー10 2階)

アクセス:JR東西線「新福島」から徒歩2分
阪神電車「福島」、環状線「福島」から徒歩5分

地図:http://sabadai.com/access/index.html


ちなみに一階は松尾貴史さんプロデュースのカレーショップ「般゜若(パンニャ)」の大阪店です。
http://www.pannya.jp/main/

「般゜若(パンニャ)」の地図で来られたら、間違いありません。

6月26日(火) おもしろ街画像トーク「この街がスゴい!vol.2」開催@さばのゆ大学_a0037241_2245443.jpg



ちなみにちなみに、「般゜若(パンニャ)」のカレーはとってもおいしいので、ぜひ開場前にお召し上がりください。
(さばのゆ大学の学食と呼ばれています)。

▼前回の様子

6月26日(火) おもしろ街画像トーク「この街がスゴい!vol.2」開催@さばのゆ大学_a0037241_2245655.jpg

# by yoshimuratomoki | 2012-06-09 02:26

イラストレーター小田島等さんとのトーク、いつでもご覧いただけます。

UST公開トーク番組『吉村智樹のチャンネル4C(よん・しー)』。
第14回目配信のアーカイブができました。

→ http://www.ustream.tv/recorded/22773256

いつでもご覧いただけます。
いつでもご覧ください。

今回のゲストは、サニーデイサービスのCDジャケットや角田光代さんの書籍の装丁などで知られる人気イラストレーター、デザイナーの小田島等さん。

小田島さんの発想、創造の源である、影響を受けた80年代ポップカルチャーについておうかがいしました。
そして先ずトップに語られたのは、意外なお笑い番組の名前でした。

懐かしさと新しさが交錯する、クリエイトにまつわるスリリングなお話の数々。
ぜひご覧ください。

次回は6月19日(火)夜8時00分から配信。

ゲストは、映画化もされた、危険なテーマに挑み続ける某ベストセラー作家をお呼びする予定でおります。

# by yoshimuratomoki | 2012-05-24 20:40 | 大阪府