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ポカホンタス



先日、京都で七代続く老舗の和菓子屋さんを取材した。
「七代」って簡単に言うが、凄すぎるでしょ!
なんせ初代は江戸時代の人なのだから。

まぁ京都は「七代目? おほほ。そうどすか~。うちは十四代目どすけど」なんてハードコアな老舗がごろごろしているので、七代くらいじゃまだ「老舗の若手」なのだろう。

しかし、これは以前「日経流通新聞」の記事で読んだのだが、創業者が二代目に引継いで成功する例はたった30%。
二代目から三代目となると、わずか7%しか成功例がないのだそうだ。
それが「七代」となるともう、電卓のどこを叩けば答えが出るのかすらわからない(わかれよ)低い確率だ。

素材の味や栽培方法、穀物の市場(しじょう)が大きく変動する製菓の世界で、七代も変わらぬ味を死守し続けるのは、気を失うほどの努力を要するだろう。
京都がいまもちゃんと「京都っぽい」ままなのは、若旦那たちのたゆまる努めの賜物なのだなと感心するばかり。

かたや大阪。

淀川区に気さくにもほどがある、エクセレントなネーミングのスナックがある。

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♪あの娘はあんぽんたんママ~、やってきたのは淀川区~。

そんな飯田久彦の(あるいはダンシング義隆の)寝言みたいな鼻歌が出るほど、ほほえましい脱力感を憶える店名だ。

そもそもスナックは心のよろいをおろす場所。
あんぽんたんな話に花を咲かせて無心にマラカスを振れば、日々の瑣事がいいブレンドでどうでもよくなる。
スナックは、そんな天国。
天国は水割りの味がする(都築響一)のだから。

さてこの「あんぽんたん」、実は同じ区内に意外にも姉妹店ならぬ親子店がある。

それが、これ。

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なんでもママの義理の息子さんが開いた店だったのだとか。

残念ながら、すでに「貸店舗」に。

二代もたなかった……。

やっぱりママだから許されるけど、「むすこ」だと踏み込んではいけないデリケートな問題をはらんでそうで、見て見ぬ振りしてしまう店名なのかも。

ちなみに「あんぽんたん」とは、万病に効く伊勢の秘薬「萬金丹」になぞらえた「あほにつける薬」という意味の伝説の薬らしい(ふと、呉智英を思い出したのはなぜだろう)。

スナックじゃなく、ドラッグストアだったら代々継いでゆけたのかもなあ。
あんぽんたんキヨシとか。

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by yoshimuratomoki | 2010-03-27 18:08 | 大阪府