フクシマモナムール

 福島県みちのく街がいさがし紀行、今回でラスト。

 僕は九州生まれ、関西育ち、東京在住。ワルそなやつは、だいたい他人。東北に行ったことは、ほとんどない。一度だけ仙台へ日帰り取材に行ったことがある程度。秋田、青森、山形など、一度訪れてみたいと思いながらも未だかの地を踏む機会がない。
 大阪に住んでいた頃は、東北出身の人に会ったことすらなかった。あき竹城や吉幾三が喋るようなトーホグ弁は、テレビのなかだけのフィクションの世界だった。

 なのに不思議だ。福島県だけ、もう四度も行っている。しかも行けば必ずしばらく滞在する。そのすべてが仕事で、自分の意思で行ったことは一度もない(実は今回の福島県探訪も、今月末に発売されるサンボマスター研究本の取材がメイン)。なぜ福島県を訪ねる仕事ばかり、こうも依頼があるのか。

 そして、行くたびにリスペクトの念が募り、故郷を想うような懐かしささえ憶える。二度なら偶然だが、四度となると「福島県に呼ばれている」気がしてくる。

 僕はナチュラルボーン・テキトーな人間で、「冗談を言ってその場をしのげば、あとは勝手になんとかなってる」と考えてしまう思考回路が埋め込まれた人間だ。

 しかし現実は、冗談で済ませられる場面ばかりではない。今回の福島取材も、生活するうえで好むと好まざるとに関わらず湧いてくる煩わしいあれこれで、前日までけっこうぐじゅぐじゅ悩んでいた。このままではノイローゼで出発できないのではないかというところまで追い詰められていた。

 会津若松の夜は早い。無人の街に信号機が明滅するのみ。ネオンのまたたきなど望むベくもない。夜の街に「逃げる」こともできない。
 なにもすることがないホテルでひとり、イメージした言葉を書き写していた。すると、ひと晩で一冊使いきってしまった。悩み事が一行書くごとに一行消えていった。ノートがいっぱいになったら、心のなかは真っ白になった。リフレッシュ? いや、リ・ホワイト。

 福島県は、冗談を「本気でやる
 なんと町営の『いいのまちUFOふれあい館』、ホワイトライオンやホワイトカンガルーなど、白い動物ばかり集めた『東北サファリパーク』、東北にハワイを再現した『スパリゾートハワイアンズ』、古本で街興ししてしまう『たかもく本の街』、57メートルもの慈母観音像をおっ立ててしまった『会津村』、そしてカワイイものだらけの『リカちゃんキャッスル』などなど、壮大なスケールで展開される冗談のような本気。笑って済ませられない冗談。冗談が通じない冗談。冗談で終わらせない冗談。本気じゃないと為しえない冗談。感動的な冗談。

 顧みれば、福島県を訪れる前は必ず、たるんでる。だから呼ばれるんだ。「お前さ、世の中ナメてるだろ。冗談を冗談で終わらせようとしてるだろ。福島県に行って、矜持を正してこい!」と言われてる、そんな気がする。福島県に行って、なんでサンボマスターが、なんであんな気恥ずかしい「真理」を、なんであんな馬鹿デカイ声で歌うのか、すごくよくわかったんですよ。

 皆さんも「たるんでるな」と思ったら、ぜひ福島県へ。決して明るい街ではない。楽しい県ではないかもしれない。でも、「面白いことは、『楽しいだけからは生まれないんだよ」ということを、福島県はきっと教えてくれます。

 福島県で見つけた小ネタ。

 JR只見線、会津鉄道『西若松』駅付近で見つけた看板。

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 いらねーよ。隣の人はトイレの工事中


 JR只見線『七日町』から「野口英世青春通り」に出た辺りで見つけた看板。

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 昔の名前で出ています。じゃ、いまはなんだよ。京都にいるときゃ、しのぶと呼ばれたの? そんな夕子に惚れました。


 郡山で見つけた看板。

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 ゴーリキーの店か?

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by yoshimuratomoki | 2005-05-16 17:33