バクダッド・パフェ

 いつからだろう。「パフェの威光が消えたのはパフェのカリスマ性が色褪せたのは。

 僕が幼い頃、繁華街には「フルーツパーラー」と呼ばれる店がたくさんあった。年がら年中ビーチサイドのような脳天気カラフル内装。ハリガネを丸く曲げただけな、コ洒落たデザインの椅子やテーブルが並び、ポップスのインストゥルメンタルが流れていた。喫茶店をもっとドリーミィにした感じ

 めったに連れていってもらえぬ繁華街の、さらに誕生日でもないかぎり入れないフルーツパーラー。そこで食べさせてもらえるチョコレートパフェ、フルーツサンデー、プリンアラモードは、夢のお城を具現化した物だった。

 バロック建築と見紛うばかりのアイスクリーム、生クリーム、みどり色のシロップ、チョコレートシロップ、コーンフレーク、缶みかん、バナナ、さくらんぼ、突き刺さったポッキー、ウエハースの山嶺。そこに色とりどりの顆粒、銀色の仁丹みたいなやつがふりかけられ、細長~いスプーンでその山なみをグチャグチャかき崩しながら登頂した。

 いまや、フルーツパーラーなんて死語。あっても銀座千疋屋のように本気でハードル高い存在になってしまった。

 かわって現れたのが、カフェ。カフェはいい。クールな選曲。居心地のいい整然とした内装。ミッドセンチュリーなファニチャー。クラブのフライヤーやポストカード。癒し。

 でもカフェは、あのごってりブ厚いグラスに親の仇のように盛られた糖分天国なパフェは、似合わない。口にはしっこにチョコシロップをべっとりつけちゃダメなのだ。

 そんなふうに思いながら『東京』駅の地下街を歩いていると、悪夢、いや夢のような光景と再会した。

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 もはやパフェの城塞。ハウルの動かない城だ。

 しかもその名は、

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 『爆笑びっくり

 個人的には笑えるポイントは恐ろしげな値段にしかないが、いまの子供たちにはパフェの存在自体が「爆笑びっくり」なのかもな(吉村智樹


吉村智樹が無責任編集 おしゃべりWEBマガジン『日刊 耳カキ』。
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by yoshimuratomoki | 2005-11-21 23:26