まずいリズムでベルが鳴る

 特に誰かに立ち会わねばならない用事もなかったのだが、京浜急行本線『立会川』駅で降りてみた。
 とある方に「吉村さん、路上観察をやるなら京急沿線を総ざらいしなきゃダメですよ」と言われ、この春は京急攻めを目標としたのだ。

 噂通り。噂通りだわあなたシンドバット。東京湾岸に沿うように伸びる京急本線の駅だけあって、周辺には大きな倉庫や工場が建ち並ぶ。その合間を縫うように運河や高速道路が入り汲み、それらをバックに陽が暮れなずんでゆくさまは、涙こぼしてしまうよなエレジー感がある。こういう“メランコリック系”駅前、大好きなんだ。

 駅前商店街も古びていながらもけっこう充実していて、昭和テイスト充逸。人通りも多い。そして一杯呑み屋や「お酒が呑める喫茶店」がやけに目につく。湾岸で働く人たちの憩いの場として、駅前商店街がちゃんと機能している様子。
 ほんの少し重油の香りが混ざった冷たい潮風が、よりいっそう胸の深いところをこしょこしょする。ちょっと切なく、イイところ。

 とはいえ、行った時間が遅すぎた。わずかに歩いただけで夜になってしまった。最近トリ目気味ゆえ、よく見えない。
 こりゃ細かい観察は無理。再度訪れることにして、今日はなんぞ食って帰ろう。しかし呑み屋は多いけど、がっつりメシが食える店が少ないな。

 一軒、かろうじて「開いてる」ことがわかる照明ルクスが低い定食屋があった。
 店から灯りが漏れてはいるものの、店名が確認できないほど暗い。

 よくよく目を凝らすと、店の前にホワイトボードがあるのがわかる。

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 僕は定食屋のホワイトベリー、じゃなくホワイトボードを見るのが好きだ。その日の「おすすめ」が書いてあるから。「おすすめ」って、安くて美味しいんですよね。
 海沿いの街だから、海鮮がウマイだろう。好物のカレイの煮つけ定食なんかつつけたらハッピー・ゴー・ラッキー! なんだけど。

 違った……。

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 おすすめは、「トーク」だったのだ。しかも「料理まずいかも?」って……。かもねかもね、100%SOいう店を求めていなかった僕は、気軽なトークに背を向け、家庭を顧みずに別の店を探した。

 とはいえ、行きつけ定食屋での店主とのくつろぐトークこそ、なによりのご馳走って気分の時もあるよな。特にしんどい仕事のあとは。たまたま僕が、腹が減りすぎてそういう気分じゃなかっただけで。

 もしかして定食屋の日替わりメニューも、食べ物だけじゃなく「本日のおすすめトーク」を書き出しておくと、けっこう流行るかも?(吉村智樹

ながらく休んでおりました日記ブログ、再開しました。毎日書くよう努めます。
exciteブログ『吉村智樹の湘南ハートブレイク

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by yoshimuratomoki | 2006-03-07 16:22