はみだしチャンピオン

 五代目・古今亭志ん生は、芸人史上「貧乏にまつわるエピソード最多保有者としても有名だ。数々の貧乏武勇伝のなかで、僕はこの話が大好き。

「子供が生まれたものの出産費用が払えない志ん生は、助産婦さんに『尾頭付きです』と言って、たい焼きを差し出した

 助産婦さんもこれにはしょうがなく笑って応えたという。いい人情話だなぁ。結局出産費用を踏み倒したわけだから美談でもなんでもないはずなのに

 思うのだが、これ、たい焼きだから許されたんじゃないだろうか。同じ材料でも今川焼きだったら、怒って剛速球で投げ返されたのでは。たい焼きには、日本人の心に太古からある海洋へのリスペクトの念がこめられている気がする。

 だからだろうか、たい焼きには他の和菓子では味わえない野趣がある。特にアンコがしっぽまでたっぷり詰まったやつを頬張っていると、大漁旗を振りたくなる。アンコが多すぎて腹からはみだしていたりすると、もうたまらん。鯛御殿でも建てたようなお大尽気分に(大袈裟だよ)。

 しかし和菓子の本を読んでいると、本来しっぽまでアンコがたっぷり詰まったたい焼きは邪道なのだという。

 たい焼きはそもそも職人さんのおやつ。手が汚れたままでも食べられるよう、しっぽはあくまで持つところ。だからしっぽにはアンコは入れない。食べ終ると、しっぽは捨てていたんだそうだ。しっぽまでアンコを入れるのは正道ではなく、ましてアンコが飛び出すほどの大盛りははみだし者扱いなのである。

 そうはいっても、もともとこちとら手になんの職もない世すねた稼業。たとえ邪道であろうとも、やっぱりたい焼きはアンコどっさり「はみだし者」を豪快にがぶりとやりたい。しかし、なかなかそういう男気溢れるアウトサイダーにはお目にかかれない。なかにはしっぽどころか、おつむにもアンコが入ってなかったりする

 JR総武線・都営新宿線『本八幡』駅前で、こんなウレシイたい焼き屋を発見。

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 『はみだし たいやき

 やった。遂に恋い焦がれた、はみだし者に会えた。ピキピキした威勢のいいあんちゃんを、頭から噛み砕いてやる! 意気込んで、さっそく一匹買ってみた。そしたら……。

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 はみだしてるのは、アンコではなく、皮の方だった

 皮か~。確かにこの蒸し暑い季節、短パンをはいていると皮がはみだしたりするけど……。

 「このクソ暑いのに、アツアツのお菓子の話なんかするからだ」と言われそう。でもご安心を。このたい焼き、前から見ると、

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 充分ホラーとしての役目を果たすのである(吉村智樹)。

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by yoshimuratomoki | 2006-07-09 19:30